「出て行け=行かないで」では、数式が成立しない。

厚労省の考え方提示と日本医療法人協会見解

・改正医療法成立

2014年(平成26年)6月25日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が成立し、医療法が改正された。

厚労省は約束通り、医療安全の仕組みとしての法律とした。即ち、医療事故調査制度を医療法第3章「医療安全の確保」の第1節「医療の安全の確保のための措置」として位置づけた。

医療事故調査制度は、法律上、明確に、「医療安全の仕組み」としての制度となったのである。責任追及・紛争解決の手段と無縁な制度として法律上は出来上がったのである。

しかし、省令・通知を巡って混乱は続く。医療法改正を受け、それまで事前勉強会と称していた科研費研究班は、同年、7月16日、正式に、「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班会議」(以下、科研費研究班と言う)としてスタートした。

第1回会議では、「医療事故調査制度の基本理念・骨格」を以下の6項目に分けて検討することとなった。

1.医療者の取り組み方針等、

2.WHOドラフトガイドライン、

3.訴訟との関係等、

4.再発防止の考え方、

5.業務・その他、

6.今後の課題、

である。

細目として、

①医師法第21条関係、②警察捜査との関係、③遺族の申請による医療事故調査の実施、④医療事故調査の対象の拡大、⑤費用負担、⑥周知広報、⑦制度施行後の見直し、⑧その他、であった。

法律上は、医療安全の仕組みとして明確に位置づけられているにもかかわらず、科研費研究班はスタートから混迷に混迷を極めるのである。第1回会議で厚労省医療安全推進室長が、「このWHOドラフトガイドラインは現在、WHOのホームページから削除されている」と発言した。耳を疑った。

会議後確認したところ全くの誤報であった。れっきとしてホームページ上に存在していたのである。(http://www.who.int/patientsafety/implementation/reportingandlearning/en/)(現在は、WHOホームページから削除されているが、ダウンロードサイト《**》が設けられている)

**:WHOドラフトガイドラインは、現在も下記サイトからダウンロード可能である。
https://www.jeder-fehler-zaehlt.de/lit/further/Reporting_Guidelines.pdf