肥満化し、マラソンと出会って

長い病気療養があり、また、魚介類を始めとする島のおいしい飯をたらふく食べ、どんどんと肥満化してしまった。島に赴任する前と比べ、17kgも増えてしまっていた。

このままでは授業をするにもしんどいので、何とか痩せなければと思い立ったのが、マラソンだった。その頃、高校陸上競技部の後輩が、毎年つくばマラソンに出場していると聞いていて、一度はフルマラソンを走りたいと思っていたこともあり、一緒に参加することに決めた。

元々はやり投げ選手だった私にとってはなかなか厳しい走り込みではあったが、ウエイトトレーニングと併用し、筋力で走り切ってやろうと、3カ月間、ハードな練習に励んだ。

つくばマラソン当日、後輩は1キロを5分のペースで走り、3時間半を切ることを目標にしていた。行けるところまで付いていってやろうと意気込み、20キロ過ぎまでは一緒に行けたのだが、そこからが地獄だった。

ペースダウンをして走るも、次々に足の筋肉が痙つっていく。何度となく立ち止まって伸ばすが、簡単には治らない。30キロを過ぎるととうとう足の前面も、後面も、ありとあらゆる筋肉が痙ってしまっていた。

そうなると歩くしかない。ストレッチや体操を繰り返しながら、やっとゴールまで後1キロのところまでたどり着いた。時計に目をやると、4時間まで後7分。

そうなると、何とかサブフォー(4時間を切ること)を達成したいと、最後の気力・体力を振り絞って棒のような足を引きずって走った。記録は3時間59分50秒。これまでに経験したことのないような苦しいラスト10キロを耐え抜き、削り出したこの10秒は何にも代えがたい素晴らしい財産となった。

もしも10秒超えていたとしたら、天国と地獄ほどの差があったであろうことは間違いない。

そのお陰もあってか、一度だけ走ってみたかったフルマラソンを15回も走ることになった。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。