【人気記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない

第5のファクター:「人間力」

いよいよ幸せな人生を送るための最後のファクターに入りました。なぜこのファクター「人間力」がそれほど大切なのか?

人間力は幸せな人生を送るための基本であり、何をするにしてもベースはこの人間力にあります。みなさんの多岐にわたるライフスタイルの基盤として、しっかり支えてくれているのがこの「人間力」なのです。

人間力とは?

それでは「人間力」の定義とは何でしょうか?

よく耳にする言葉ですが「定義は?」と聞かれても説明できる方は少ないのでは。色々な説がありますが人間力は「社会で生きていくための力」とか「自立力」、「包容力」、「胆力」を掛け合わせたものであるという説があります。

「自立力」とは揺るぎない自立心を持ち、周りの人に頼らず自分で物事を決めて進めていける力のことと言われています。「包容力」とは他人に対しての思いやりや包み込める優しさを持っていることです。

「胆力」とは腹が据わり、覚悟を決める力のことです。なにかこの3条件を持っている人って明治維新の志士たちの様ですが、まさに彼らはこの国を良くして行こうという覚悟を持っていたから命がけで国のために尽くせたのだと思います。

読者にも維新の志士になってくださいと言っているわけではありません。人間には平等に「死」が来ます。縁起でもないと思われるかもしれませんが、明日何かの事故で誰に死が訪れるかもわかりません。

以前にも申しあげた「まさかの坂」は誕生したときから全員に必ず来ます。悲しいですが私も両親の死に目にあいました。また、沢山の方が亡くなられた阪神淡路大震災で倒壊した神戸の百貨店の再建をしてきました。

更に東日本大震災も東京で経験しました。そしてコロナ大恐慌です。神様は残酷にも次から次へと「まさかの坂」を準備しています。必ずやってくるこういった坂に出会っても、慌てずにドンっと構えて受け止める「胆」を練っておくことが必要なのです。

自己哲学を持とう

では私はどれだけ「胆」が据わっているか?と言えば、かなりの怖がり屋で10年前に「癌宣告」されたときは夜中に油汗をかいて何度も飛び起きました。

例えば「教えに行っている大学の退職準備をしておかないと」とか「経営している会社をたたむ段取りもしておかないと」とか人間いざとなれば弱いものです。次々と心配事が浮かんできました。

39回の放射線治療のおかげで、10年たちましたが、どうやら再発もなく元気にしています。私はありがたいことに幸せな若年期を過ごせました。ただ、サラリーマンになっても独立する自信はなく、31歳のときに京都の妙心寺に週末52週間、皆勤で「禅の修行」に行きました。

夕方6時に入り深夜まで座禅を組み、合間に老師と「考案」という課題をいただいた後禅問答をしながら、また座禅を組むという繰り返しをしました。

早朝5時起きで境内の庭の掃除、建物の拭き掃除からドブ川のごみ拾いなどすべてが禅修行の一環として1年間鍛えられました。常に「死」とは何か?「無」とは何か? を考えました。

お陰様で6000人以上の方を死に至らしめた阪神淡路大震災の時も慌てず店の復興に全力を投ずることができました。

それでも「癌宣告」されたら頭が真っ白になりました。西郷隆盛のようにそうは簡単に「胆」は据わるものではありません。若いときは生死のことなんて考えもしませんでした。

ですから「死生観」なんて大袈裟なものでなくてもいいのです。

見たくないものでも現実を直視して何事にも逃げないことから始めればいいのではと思います。

「逃げない!」、「直視する!」、「真正面から飛び込む!」、その様な心掛けを持っておくことが重要と思います。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『人生勝ちきり戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。