二 日本文化と世界

18 「立」

年の瀬は一年の仕事のしめくくり。そして、新しい年を迎える。

日本人はとても几帳面でよく心配りをし、何事も新しい出発点に立とうとする。今言われる技術革新も、日本人の精神の根底にあるのではないかと思わずにはいられない。

一夜明けると、輝かしい新玉の年。門には松を立て、神の来臨と寿福を招き入れる。拙宅の能舞台には注連縄を飾り、元旦を迎える。

年の始めの謡初め。初会の能は清楚なうちに気が引き締まる思いだ。演じる側も見所も、すがすがしい空気につつまれるようだ。

今年、東京の初詣は寒さの中、青く澄んだ空のもとで参拝すると、身も心も清められるようだった。

日本には祖先をお祀りする八百万の神がおわします。そういう神様のご加護のもとに、私たちは平和な生活を送れるのだと思う。日本人にはそういう優しい心根が知らず知らずのうちに根付いている。

島根県の出雲の大社は大国主命が主神、仏教の大黒天と結びつき、幸福や農業の豊作、そして縁結びの神様として崇められている。

出雲の国の神話は素戔嗚尊の大蛇(おろち)退治、因幡(いなば)の白兎の物語。そして大国主命の国譲りの神話だ。それは日本人が破壊的な争いを好まず、心の安らぎを持ちながら国づくりをしてきた優しさの証しである。

終戦の年まで、日本人の心のうちに、この物語は語り伝えられてきた。しかし、米国占領軍の施策により、次第に薄くなり失われていったのである。GHQによる教育基本法の制定、そして憲法の制定によるものだ。しかし、教育基本法はようやく日本人の手により新たに作りかえられた。

でも、頻繁に、青少年に対する不幸な事件が発生する。失われてきた日本人の人に対する優しい心をこれから取り戻すことは大変だ。

伊勢神宮は日本の主神、「天照大神」。光り輝く太陽の神として祀られている。日本は今、改めて明るい未来に向けて立ち上がらなければならない時なのだ。

※本記事は、2018年11月刊行の書籍『世を観よ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。