エネルギーを出す方向性

さらに大事なのが、エネルギーをどこに出すかという方向性です。質と量を高めても、出す方向が間違っていれば、その放出したエネルギーは返ってこないのです。法則としては、ベクトルが自分に向くと、どんどんエネルギーが逃げていってしまい、逆に、ベクトルを外に向けると、エネルギーが自分に入ってきます。

たとえば、自分のことばかり考えたり、自分の欲のためにお金を使ったりすると、「どんすればきゅうする」ということわざのように、エネルギーが袋小路ふくろこうじ的に行き詰まってしまいます。そういう人は、比較的お金を手にすることが難しくなります。逆に、人のことをおもんぱかり、社会をよくするためにエネルギーを使おうとすれば、知らない間にエネルギーが回っていき、豊かになっていきます。

このことは、トルストイの小説『天国と地獄』のなかでも語られています。地獄の人は、長いスプーンを使って自分で食べることができずに苦しんでいるのに対して、天国の人は、長いスプーンを使ってお互いに食べさせあうことで幸せに暮らしているというものです。こうした描写からも、この法則の本質が伝わってくるかと思います。

ここまで、お金とエネルギーの関係性についてお話ししてきましたが、このことは、仕事をする姿勢にもつながっていると思います。

エネルギーの法則を応用してみますと、「お金を稼ぐ=エネルギーをもらう」という姿勢では、お金はあまり巡ってきません。「自分が費やした労力に対する正当な対価を求める」というのもうまくいきません。

お金が巡る働き方というのは、「相手のことを思い、相手にとってよかれと思うことを、損得勘定そんとくかんじょうなしで提供する」、「自分ではなく、相手が本当に幸せになるように働き、エネルギーを出し渋らない」、「自分自身が出すエネルギーの質を最善のものにする努力を日々怠おこたらない」といったものです。なにも無料でボランティアをしなさいという意味ではありません。いただく分以上のエネルギーを差し出すという姿勢で働くことが大事だということです。

まさにこれからは、本質が求められる時代になるので、自分のために一生懸命生きるのではなく、人のために何ができるのか、自分を消して、周りに愛というエネルギーをどれだけ出していけるかということが、次の時代を生きていく鍵となるのではないかと思っています。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『声の波動で幸せになる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。