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小説を読みながら…

「――ふう」

まだほんの数ページしか読んでいないにもかかわらず、すごく疲れた気がする。

私は自分を本の虫だと自負しているがそれでもこれは辛いものがある。

内容が濃い、というのもあるし字は小さい、少しは読みやすいようにとルビや注釈はそこそこ多いが、読み辛いことにかわりはない。

言葉遣いも古風だから余計にそう感じるのだと思う。

それに加えて、私がこの手のものは専門外だから調べながら読んでいる、というのも大きいのだろうけど。

あの御巫が貸してくれたものだし、新作のネタも見つかるかもしれない。

私は気分を入れ替えるために本を閉じた。次いで妻に声を掛ける。妻が用意してくれていたおにぎりとみそ汁だけのかんたんな夕食をすませると、今日はこの本の背景に妄想を膨らませながら、布団に入ることにしたのだった。

その日の夢はなんとも不思議なものだったと記憶している。

「原稿はどうだい?」

「――まあ、ボチボチだな」

あれからページを読み進めて、二日がかりで読み終えた。

だいたいのプロットも頭の中で出来上がりつつあるから、今回のネタは私とは相性が良かったのかもしれない。

その後ほとんど寝ずに徹夜でプロットを仕上げて、丸一日、妻曰く死んだように眠った後、そのプロットを手に、前回の報告も兼ねて友人宅へと足を運んでいた。

薄くてぬるい茶が出てきた所を見ると、どうやらまだ彼の細君は帰宅していないらしい。

私が小さく笑ったのを目聡く見つけた友人は、わざとらしい溜め息をこぼして私が手土産にと持参した茶菓子に手を伸ばした。