フリードは脚本のコムデンとグリーンに状況を説明した。バーンスタインの一部の曲を残し、その他のナンバーはロジャー・イーデンスが作曲すること。二人には新しい曲にも作詞をしてもらいたいこと。曲の変更などを踏まえて、脚本に手直しが必要なことなどであった。コムデン&グリーンはバーンスタインとの友情からすぐには了承できなかったものの、最終的に上記を受け入れ脚本作りが始まった。

物語は次のようである。

二十四時間の上陸休暇をもらった三人の水兵が午前六時、ブルックリンの港に停泊する軍艦を飛び出しニューヨークの中心部へ向かう。名所見物をする彼らは、地下鉄の車内で「六月のミス地下鉄」(ヴェラ=エレン)のポスターを見つける。一目惚れしたジーンはぜひ彼女とデートしようと考え、皆で彼女の居場所を探し始める。

途中で出会ったタクシー運転手のギャレットは、すぐさまシナトラを気に入り強引に誘う。ヴェラ=エレンの手がかりを求めて博物館に向かった一行は、そこで人類学者のアン・ミラーに会う。彼女は先史時代の男の像にそっくりなマンシンに一目惚れする。

踊り回った一行は展示してある恐竜の骨格標本を壊してしまい、後で警察から追われるはめになる。効率的に探そうと三つのグループに分かれるが、ギャレットとシナトラ、ミラーとマンシンはそれぞれ自分たちだけで楽しんでしまう。ジーンはわずかなヒントからダンスを稽古中のヴェラ=エレンを見つけ出し、午後八時半にエンパイヤー・ステート・ビルディングで会う約束を取り付ける。集まった六人はナイトクラブを梯子して夜のニューヨークを満喫するが、ヴェラ=エレンはメモを残して消える。ジーンから有名人だと思い込まれていたため、十一時半からコニーアイランドで踊るアルバイトのことを言い出せなかったのだ。

警察とのカーチェイスの末コニーアイランドに着いた彼らは、ヴェラ=エレンを見つけ出す。ドタバタの末警察に捕まるが、事情を話して許され、互いの誤解も解ける。午前六時、ブルックリン港に戻った三組のカップルは別れを惜しみ、水兵たちは船に戻って行く。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『踊る大ハリウッド』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。