サルコリーと《カバレリア・ルスティカーナ》

邦訳台本の一部を挙げると次のようである。

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サントッア

トリードさん、待って頂載、待たないの?それぢゃあなたは私を見捨てる気?

トリード

何故貴様は己が去れと云ふのに、己に尾いて来るのだ?

サントッア

イヽエ、トリードさん。

トリード

何故一体貴様は己の跡をつけるのだ!!!

サントッア

マアお待ちなさい、それでは、貴方は私を遂に捨てる積りなのね?(之より男声女声二部合唱となり)聖き教会の門に迄も人の心を疑ひて探ぐるか疑ふか。

サントッア

否、トリードお待ちなさい。(男声女声二部合唱となり)否、トリード待て!(男声女声二部合唱)

トリード

疑ひて〳〵〳〵、人を探ぐるか、(此時オーケストラにてサントッアの苦悶を奏出す)

サントッア

貴方を愛するサントッアが涙を以て貴方に願ふに、貴方はサントッアを逐い去らしめなさるか。(此の独唱終はらざる間にトリード歌ふ)

トリード

行け、また己に無駄に口をきかせるか、行けと云ふのに何故行かぬ。

サントッア

否、トリード、今少し待って!

トリード

人に罪を被せてから後で後悔しても駄目な事。

サントッア

トリード。トリードエヽ煩さい!

サントッア

トリード待って!

トリード

行け。

サントッア

否。

トリード

行け。

サントッア

トリード。

トリード

行け。

このようにトリードの激しい言葉とサントッアの嘆願がくり返されるうちに、音楽急調し、サントッアの「アヽ、汝! 偽善者のトリードよ。幸ある復活祭の此日、次を呪ふ、汝を呪はんとす」との絶望のアリアで幕となる。