そして、その女性は、自分に秘められた能力を維持するか、どうするかという悩みがあることを明らかにした。二人は簡単な自己紹介の後、数日間にわたり、主に森で採取した食材を口にしながら野宿して過ごし、近くの小さな湖畔で水浴もした。

この物語は二人の境遇とか、さまざまな哲学的テーマについて英語で対話を交したときの回想録でもある。

二人の対話の始まり

イサオ:ぼくのフルネームはイサオ・ジョン・ナラだけど、イサオと呼んでくれていいよ。ジョンはイエス・キリストの弟子のヨハネに由来するクリスチャンネームなんだ。

日本の大学で教育学を専攻した後に一年半だけ高校の教員を勤め、アメリカのカリフォルニア州にあるローマリンダ大学でリハビリテーション医療の一分野の理学療法学を専攻したんだ。

この大学は医学系総合大学でプロテスタントの「セブンスデー・アドベンチスト教会」が創立母体でね、原則的に動物性タンパク質は卵、ミルクを除き菜食主義なんだ。

日本では肉や魚を食材にしない精進料理があるけど、大豆を原料にして肉に似た食材を加工していて、ハンバーガーはビッジバーガーと呼び、野菜バーガーだったんだ。

さらに、酒、カフェインを含むコーヒーは避け、女性は宝石類も身につけないので婚約指輪ではなく、腕時計などだったよ。安息日はカトリックと同じで金曜日の日没から土曜日の日没の間なんだ。

安息日には自動車は別としても勉強はしない、機械は使わない主義で、信仰と健康を重視しているんだ。ぼくが学生寮に住んでいたときに、安息日に洗濯機を使っていたら、寮長に注意されたことがあった。

卒業して資格試験に合格した後、ぼくはしばらくロサンジェルス整形外科病院と在宅の対象者を診る訪問理学療法の仕事を経験したんだ。

留学に必要な学費は、ぼくが所属する「キリストの教会派」から支給してもらえて、たいへん感謝している。

諸国の文化に触れたくて稼いだ給料で世界一周の航空券を買い、ヨーロッパを電車で旅しているところなんだ。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『魔女と詩人との対話』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。