9月11日のミーティングは前月(8月)がお盆休みなどもあり、売上及び生産量も普段の月と比べて少なめに予算計上していたこと、事前の情報ではほぼ予算通りの目標が達成できていたことで出席者にもさほど緊張感はなかった。

一通りの議題が予定通りに終わり、これで散会と思って一同腰を浮かしたところ、経営企画室長の木島が皆に着席するように促し「ちょっとそのまま待っていて下さい」と言うと部屋を出て行った。

5分後に戻ってきたとき、社長の小松誠が会議室に入ってきた。

一瞬張りつめた空気が会議室全体を覆い、これから何が始まるのかという不安な〝顔・顔・顔〟に満ちあふれてきた。小松はホワイトボードを背にし、一同を見渡せる位置に座って話し始めた。

〈小松〉おはよう。悪天候の中早朝からご苦労さんです。私が出てきて話をするときは、皆大体〝構え〟て社長は一体何を話し出すのかと不安になるだろう。

まあ、一つ緊張感を持って聴いてほしい。諸君も承知している通り今年度の予算は、売上20億円、営業利益2億円を目標に今月で半分が過ぎたことになる。前月までの累計では、若干予算を下回るもほぼ予算通りに推移している。

勝負はクリスマス・年末・年始であることには間違いないが、ここで100%予算を達成できるという保証はない。今から相当気合いを入れていかないといけない。

もう一つ現実に注目してみると予算を100%達成したとしても営業利益は昨年度と比べてもプラス3%しかない。3%というのは誤差範囲のものだ。ちょっとした市場のブレによって、化けることも極端に落ち込むこともある。

つまり厳しい言い方をすれば、当社は現状維持が続いて進歩がないということになる。それでも今までは何とか利益を捻出し、満足とはいかないまでもボーナスも出してきた。