かあさんの
かあさんの顔から
汗がしたたり落ちる 夏の日
「タマネギもキャベツも 店で使うだろ いっぱい持ってけ!」
店でタマネギの皮をむきむき
かあさんの作った野菜を
店でお客さんに出せることに 涙が
目が痛い 目が痛い
※本記事は、2020年11月刊行の書籍『もう一度かあさんの聲が聴きたい』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
もう一度かあさんの聲が聴きたい【第13回】
いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり
いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う――
母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。
失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。
「かあさん、ありがとう」
第21回 日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞作品を連載でお届けします。
著者・法邑美智子が描く、母という存在をなくして、声なき言葉を語りだす魂の響きを、連載形式で紹介します。
かあさんの顔から
汗がしたたり落ちる 夏の日
「タマネギもキャベツも 店で使うだろ いっぱい持ってけ!」
店でタマネギの皮をむきむき
かあさんの作った野菜を
店でお客さんに出せることに 涙が
目が痛い 目が痛い