何十年も
生きていることに感謝の 気持ちが綴られていた
何度か
何度か連れ出した外食
その度に かあさんはよろこんで
「とうさん こんなところで食事できてうれしいね」
「とうさん おいしいね とうさん ほれ こぼしてるよ」
ありがとうと言いつつ お金のことを気にしていた
もったいない が口癖だった
もう一度かあさんの聲が聴きたい【第13回】
いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり
いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う――
母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。
失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。
「かあさん、ありがとう」
第21回 日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞作品を連載でお届けします。
著者・法邑美智子が描く、母という存在をなくして、声なき言葉を語りだす魂の響きを、連載形式で紹介します。
生きていることに感謝の 気持ちが綴られていた
何度か連れ出した外食
その度に かあさんはよろこんで
「とうさん こんなところで食事できてうれしいね」
「とうさん おいしいね とうさん ほれ こぼしてるよ」
ありがとうと言いつつ お金のことを気にしていた
もったいない が口癖だった