情けない。本当に情けない。

「親の顔が見たい」、「どんな躾をしているのだ、この親は」、「うるせーなー。早く大人しくさせろよ」、「早く帰れ」。

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テレビドラマや小説でしか滅多にお目にかからないような台詞。そんな言葉を、私達夫婦は何度聞いただろう。

その度に私たち夫婦は言い返すこともできず、やりきれない気持ちになっていた。特にショーといる時間が長い妻にとっては、私の何倍も嫌な思いをしているのだろう。

大人しく椅子に座っていると、ショーは健常児のように見える。親の私が見ても普通の子供のように見える。ただ、ファミレスなどでじっと座って居られなく、甲高い奇声を発する。すると周りの客が一斉に声の方を振り向く。

私は「ショーくん! シー」と人差指を口の前に持っていく。ショーも真似する。全然理解してくれない。

一旦は止めるが少し経つとまた奇声。奇声を発する間隔がだんだん短くなる。その時、どこかのテーブルから

「うるせーな。静かにさせろよ」

という声がした。私たちは必死に叱るのだが、ショーが理解すると思えない。他の客の手前そうすることしかできなかったのだ。

情けない。本当に情けない。ショーの我慢は限界に近づいてきた。お腹がすいて我慢できないのだ。店員さんが、私たちのテーブルの前を通り過ぎる度に、ショーは指を差し「うー、うー」言い出す。厄介なことに右手の付け根を噛みだした。パニックの前兆だ。