サポートの仕方の心得の一端を例示します。

・本人に恥(尊厳を傷つける)をかかせないようにする

・自信をなくすような言葉を使わない

・トイレの場所を分かりやすくするような工夫をする

・衣類の着脱が容易になる工夫をする(着なれているものにする)

・定期的(早め)なトイレ誘導をする

・もの盗られ妄想はしまい忘れがきっかけになることがある

・もの盗られ妄想では妄想の対象になっている人を庇護しなければならない

・もの盗られ妄想が深刻化

・複雑化しないうちに専門医に相談する

・徘徊は原因(場所、時間、風景など)を考えて対処する

・早期発見、早期受診・診断、早期治療が大事

日常生活の困難さが心理的な緊張を生み、状況の把握や見通しが悪いと困惑・不安を増強させます。さらに、判断力や行動がうまくいかないと欲求が充足されず、自分の行動が役に立たないと考えると、無力や抑うつを来すことになります。

困惑・不安時には落ち着きのなさ・徘徊・興奮を、欲求不満時には攻撃(自傷・他害)・固執を、無力・抑うつ時には引きこもりを来します。

したがって、患者さんの心の不安定を解消・軽減させることが症状の改善につながります。

具体的には、1人にしないようにする、心理的に安定させ混乱しないように支援する、本人と介護者のコミュニケーションをよくする、本人の存在感を回復させる、できなくなったことをできるように援助する、頼れる人・場の提供をするなどです。

 

※本書で紹介している治療法等は、著者が臨床例をもとに執筆しております。万一、本書の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。また、本書に記載している薬剤等の選択・使用にあたっては、医師、薬剤師等の指導に基づき、適応、用量等は常にご確認ください。

※本記事は、2018年5月刊行の書籍『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。