妄想、焦燥、せん妄のある患者さんにクエチアピン(セロクエル®)、リスペリドン(リスパダール®)、オランザピン(ジプレキサ®)、などの非定型神経遮断薬やハロペリドール(セレネース®)、チアプリド(グラマリール®)などの定型神経遮断薬、カルバマゼピン(テグレトール®)、バルプロ酸ナトリウム(デバケン®、アメル、セレニカ®、エピレナート®)などの抗てんかん薬(抗けいれん薬)が使用されます。

これらの薬剤は、保険適用外のものもあり、副作用もあるため、慎重に患者さん側の承諾を得た上で使用します。抗精神病薬に対する過敏性があり、リスペリドンやクエチアピンによる悪性症候群の出現の報告があります。

過敏性は、使用後2週間以内に生じます。パーキンソン症状の悪化、意識消失などが生じる可能性もあり、また2~12カ月の期間に死亡する可能性もあります。

抑うつがあれば、セロトニン再取込阻害薬フルボキサミン(デプロメール®)、パロキセチン(パキシル®)を使用します。不眠治療の有効性の確証はありませんが、トラゾドン(レスリン®)が推奨されています。

◎周辺症状に対しての非薬物治療

中核症状と周辺症状の両方の面からの薬物治療は、患者さん個々に合わせて選別する必要があります。薬物療法に併行する非薬物療法は大切で、患者さんは認知や行動などすべてが一様にできなくなるわけではありませんので、できなくなったことをサポートするようにします。

サポートにあたっては、認知症患者の心理を理解することが大切です。心理的な不安定さ(負の心理反応)が様々な症状を出すことを理解する必要があります。

患者さんの経歴などの物語を重視した医療介護(narrative medicine and care)により個人に合わせて補完することが大切です。