第14話 ライジング・サン

「どこから話していいのか……自爆装置はわざと切っていたのですね……」

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「そうだ……特攻、自爆……愚の骨頂だ」

「あれから、27年。昭和20年8月6日広島に人類初の原子爆弾が投下されました。基地が爆心地から離れていたのと、自爆装置が効かなかったので、わたしだけ奇跡的に助かりました」

「涼子、菊池一等兵は助からなかったんだな……」

「残念ながら、恋人のゼロ戦パイロットの写真を握りしめて……」

「そうか……わたしは今、知っての通り政権末期に来ている。戦後、わたしなりに全力で取り組んだ。悔いはない。戦後豊かになった日本、しかし、どうだ、理想と現実のこのギャップ。日本初の女性首相はいいが人気取りの傀儡政権と呼ばれ、実質的には民自党の長老達と官僚に支配されている」

シマはゆっくりと部屋を歩きながら語った。

「あなたはよくやっている。わたしも、あの焼け野原から失敗と挫折の連続でした」

「失敗と悔しさの度に強くなった……お互い、戦後……目いっぱい、日本のために駆け抜けてきたんだな……」

シマは涙目でアツシをじっと見つめる。

「TENCHIが言ってたな、戦争に勝者はいないと……」

シマはポツリと呟いた。

 

第15話 未来の竜宮城

「現実は厳しかった。民自党の長老どもは用済みのわたしを総理の座から引き下ろしに来るだろう。実を言うと……今日は……ちょうどいい」

シマは煙草を灰皿にねじ込み、バッグから何かを取り出した。

「それは……」

バッグから出したのは小型のピストルであった。一歩下がり怯むアツシ。

「お前には撃たないよ、私の自殺用のさ」

「シマさんらしくない、止めてください!」

アツシは、ピストルを取り上げようと飛び上がる。

「私も経済界の端くれ、汚職スキャンダルのことは知っています。シマさんがするわけがない、でっちあげでしょ!」

アツシは長身のシマからピストルを取り上げようともみ合う。

「なに?」

もみ合いながら不意にテレビモニターを見たシマは叫んだ。

「彼女似てないか?」

手首を取られ揉み合いながらアツシに訊く。

「突然何ですか……」