人は人差し指と中指を揃えて伸ばすことが出来るし、指を広げるとチョキになり、握ればグーの形にすることが出来ます。これは、指が横に広がる方向に30度ほど動けると共に90度ほど握り方向に動かせることを意味しています。

ダブル・クリップのレバーは人の指ほどではありませんが、細かく見ると同じような動きが出来ますから、人の指と似ていることになります。これを組込んだ道具は人の手と似たような動きが出来ることになるはずですから、とても扱い易い便利な生活用品となることが想像に難くありません。

おまけにダブル・クリップはバネとしての機能も持っていますから色々な用途が考えられます。2章に紹介するウエスト・ウオッチ、3章に説明する快菜箸、生ごみ袋クリップ、5章に説明するくち箸はこのダブル・クリップを使っています。

筆者は、110年ほど前に米国で発明されたダブル・クリップを単なる文房具として見ていません。まだ十分に使いこなせていない大発明の一つと考えています。

ところで、重力の支配や外敵から逃げられるように生物が開発した骨格または殻も道具の構成品として極めて有用に考えられます。2章に紹介する新聞コンフォート・リーダーはこの性質を採り入れることで目的を達成しようと考えて作ったものです。

この他、扱う時に全ての指を利用出来るようにすることや、哺乳類や鳥類独特の表面断熱による熱の制御も出来れば模倣することも視野に入れます。3章に紹介する断熱グラスホルダーは持ち易さと温度に関わる性質でこの考え方を使っています。