部活動編~学校の中で子どもが一番夢中になれるもの~ 

三振やエラーといった結果で叱り、負けた後のミーティングも長く、礼儀なども押し付けるような状態でした。とにかく厳しく叱り、それをはねのけて「がんばります!」と言える子どもは根性があって伸びていくのだと信じ、本当によく叱っていたと思います。

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もちろん部員である子どものことは一人ひとり大好きでしたし、我が子のように大切に思ってきました。子どもを試合で勝たせたいと思い、各地の講習会に参加したり、強豪校の練習を見に行ったりしていたことも事実です。

もちろん厳しいこと自体が悪いことだとは思いませんが、今思えばそこに、なんのためという「教育哲学」があればよかったと思っています。

今の部活動指導は大変です。自分の上の世代にされてきた「当たり前に厳しい指導」を変えていく必要があるからです。だから今、自分の時間を割き、自分の家族との時間を割き、部活動指導を試行錯誤しながら行っている全ての教師を尊敬しています。

日本の部活動は今、変革期にあると思います。私が「当たり前に厳しい指導」を変えるきっかけとなった出来事があります。私が指導していた子どもたちで、高校では野球をしないという子がたくさん出たのです。

もちろんさまざまな原因があると思いますが、私は理不尽な厳しさを押し付けていたのではないかと考え、深く反省しました。

野球がスポーツの全てではないので、いろいろな部活動を経験することはよいことなのですが、「果たして自分は野球の楽しさを伝え、子どもたちを夢中にさせることができていたのだろうか……」と思ったのです。

自分は「勝つこと」や表面上の「野球部らしさ」を優先しすぎていたと思います。部活動の主役は私ではありません。私の現役は終わっています。試合で勝ちたいのはまず子どもであって、それをサポートするのが教師だと思ったのです。

それではどうしたらよいのでしょうか。部活動指導における私の考えは、「その種目が好きで入部してきた子たちが、仲間との友情を深め、更にその種目を好きになって引退していくこと」です(しかし「楽しむ」と「ふざける」は明確に違うと思っています。ふざけていても、本当の意味で楽しくはありません。「スポーツを楽しむ」ってどういうことなのかを、考えてみるのもよいと思います)。