2 事務管理職をどう育てるか:インドの労働関係法規

まず最初に、後述する労働争議に対応した当時の、インドの主要な労働関係法規は次のとおりです。

雇用契約=Contract Labour(Abolitionand Regulation)Act,1970

雇用条件=Factories Act,1948賃金-給与支払い=Payment of Wage Act,1936

賃金-最低賃金=Minimum Wage Act,1948

賃金-賞与=Payment of Bonus Act,1965

賃金-退職金=Payment of Gratuity Act,1972

雇用契約解除-解雇(個人的理由によるもの)=Industrial Employment(Standing Order)Central Act,1946

人員整理・レイオフ(一時帰休)・人員削減(retrenchment)・整理解雇=Industrial Disputes Act,1947

労働組合-組合の組織と権利=Trade Union Act,1926

労働組合-労働争議=Industrial Disputes Act,1947

ざっとこれだけあり、インド憲法が人権擁護に向ける精神の発露だといえます。

ちなみに日本には、労働基準法、労働契約法、労働組合法、労働関係調整法、男女雇用機会均等法、労働施策総合推進法などがあります。また、タイの労働関連法は一本(条文数約160条/日本語訳JETRO)にまとまっています。

日本・タイともに、男女平等の取り扱いは当然のものとして、さらにインドには女性へのセクハラ防止法(2013年)があります。

労働時間については、タイは1日8時間・週48時間、日本は1日8時間・週40時間、インドは法定労働時間9時間(原則)・週上限48時間。

また時間外労働については、タイは週36時間を超えないこと、日本は36協定による規定の明記および月45時間、インドは残業3ヵ月で50時間となっています。雇用者側にとってみると、インドは日本・タイと比べ、かなり厳しいという印象があるでしょう。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『インドでビジネスを成功させるために知っておくべきこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。