2 事務管理職をどう育てるか:基幹の人事の視点

世の中には、トヨタ生産方式をはじめ、工場従事者を育成するための本はたくさんありますが、事務管理職をどう育成するかの書物があまりに少ないと感じています。

私のフィールドワークの舞台はインドなので、インドの事務管理職をどう育てるかについて、実際の体験を書きます。

某社の人事に対する考え方として、「体系的な教育体制の整備とラインマネージャーの後進育成意識醸成による、ローカル人材の早期育成」とあります。さらに、優秀な人材・育成すべき人材の姿として、

①会社のおかれた状況を正しく理解し、危機感を持って主体的に、現状の問題点を見出し分析した上で、新たな発想とオリジナリティで的確な課題とアクションプランを描ける者

②課題達成のために適切な優先順位付けを行い、他を上手く巻き込みながら、社内外の有益な情報を収集するとともに、限りある資源(人・モノ・カネ)の中で、着実に推進できる行動力・対人影響力・粘り強さを持った者

③自らの保有能力向上のために、常に研鑽を重ねるとともに、後進の育成にも強い関心を持ち、計画的かつ体系的に指導・育成できる者

とあります。

しかしながら、どのように指導するのかが、具体的に書かれてはいません。人事の分野では、「優秀」という言葉をよく使いますが、優秀の定義とは何なのでしょうか。

優秀の定義もなく、誰が優秀と認知されるのか、はたまた、優秀な人を選り好みできる余裕が会社にあるのかと、私は疑問に思うのです。