③外用ステロイド剤について

病院で処方される外用ステロイド剤は、主に軟膏基剤なので熱の発散を抑えてしまいますが、ステロイド自体が強力な消炎作用を持つので、皮膚を保護しつつ消炎・止痒することができます。

ステロイド剤は適切な強さのものを選び、適切な使い方をすれば、短期間で効果が出てきます。

「ステロイド治療はきれいになってからが本格的な治療の始まり」と考えてもいいくらいです。ステロイド剤の一番の使用目標は「壊れた皮膚」と「かゆみ」です。

塗っていない時にかゆみを感じ、「これはかき壊す!」と思ったら皮膚がきれいだとしても使っていいのです。

ただし予防的な継続使用は厳に控えてください。皮膚がきれいな状況で使えば1~2日で治ります。かき壊してしまえば1~2週間かかります。きれいな皮膚の状態を続ければ、次第に強い皮膚になっていきます。

〈注意点〉

○ステロイド剤の吸収力が皮膚の場所により違いますので、手や足に塗るように指示されたものを、顔や陰部には使わないようにしてください。

○ステロイド剤の効果がうまく出ていない場合、適切な強さではないか、塗り方が良くないことがあります。また、良くなってから休止するまではさまざまな方法がありますので、病院にかかっている場合は担当のお医者さんに尋ねてみてください。

○使い始めたら、きれいになるまで使ってください。随分良くなったからやめようではなく、きちんと治しきってください。

○しばしば薄く塗り延ばすようにと言われることが多いのですが、状況により厚塗りすることがあります。お医者さんは塗る量も考慮していますので、疑問に思われたら尋ねてみてください。

一般によく使われる指標として、FTU(フィンガーチップユニット)というものがあります。チューブタイプの軟膏(口径が約5mm)では、大人の人差し指の先から第一関節までまっすぐ絞り出した量(約0.5g=1FTU)を大人の手のひら2枚分に塗り延ばします。

チューブにより口径が異なる場合がありますので、気を付けてください。通常軟膏であれば塗布した後、ティッシュペーパーをつけて持ち上げても剥がれないくらいになります。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『かゆみの処方箋』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。