「あと独ソ戦についてはご存じですか?」

「はあ、なんとなくですが、まだ続くんですか?」

「もう終わりですから辛抱してください。あなた世界史にはあまり詳しくないでしょう。受験科目だけ要領よく勉強した口でしょう」

メタタアコののんびりと間延びした話し方のせいだろうか、なぜか怒る気にならない。

「まあ、そうですが」

「まあぼろ負けです。それも戦うことなく。スターリンは針葉樹に囲まれたドームにいました。周りは地雷だらけ、腕のいいスナイパーも狙っています。そこに恐ろしいロシアの冬がやってきます。つまりナポレオンと同じ間違いを犯したのですね。

そのうえ次第に正気を失ったヒットラーは、戦力になるはずのない子供のような若者、老人、怪我が治りきっていないものまで戦場に送りました。まあ一番ひどい目にあったのはドイツの人たちなんですぅ。

つまりちがう角度から見れば全く事態は違いますぅ。個人のレベルでもそうですが国家的な規模でそういうことが起こると大変なことになりますぅ」

「はぁ、それはわかりますが、あれ、もしかして私にはその素質があったとか?」

だんだん慣れてきたがまた痙攣が起こり、メタタアコはぶるぶる震えながら話し続けた。

「いいえ、違います。あなたはただの小悪党です。というか損得勘定と頭のいいのをはきちがえましたね、これはよくあることですし人より力はあります。あと体力と知力も。もっとすごいのはこの浮気の数々、それもばれてませんね。隠しとおしました。

これはすごいです。たまに開き直るやからもおりますけど世間体もばっちりです。これは最低限のルールですよぉ」