発達障がいで苦しんでいるお子さんにとっては、これらすべての機関の協力、かつ連携が必要になります。一つでも欠けてはいけません。

2011年つくば市で初めて筑波四つ葉の会を開催することができました。試行錯誤で始めたセミクローズドな会なので、第1回は4つの分野から私の人脈で集まっていただきました。

瞬く間に討論が盛り上がりました。発達障がいに関して言いたいことが、各分野でかなりたまっていたことがうかがえました。終了時刻を過ぎても議論はさらに白熱し、できることならこのまま朝まで続けたかったくらいでした。

学校の中だけで発達障がいのお子さんに関するさまざまな問題を解決するのはもはや限界です。しかし、どこの医療に相談していいのかもわからず、解決できないままでいる多くのケース(発達障がい難民)が、参加者から次々と相談事例としてあがってきました。みんなの喉につまっていたストレスが一気に吐き出された数時間でした。

第1回にしては大成功でした。会の終了後、この筑波四つ葉の会は発達障がいで悩むお子さんのためにも継続していかなければならないと、私は確信しました。

2013年3月には、製薬会社の企画で全国の発達障がいに関心が深い医師400名ほどが集まった学術講演会で、この筑波四つ葉の会の活動内容を発表する機会をいただくことができました。そして全国に広めるべく今も講演を続けています。

2018年5月、回を重ねていつの間にか第19回を開くことができました。回を重ねるたびに、四つ葉の連携が密になる印象を受けました。まだ参加したくても参加できない仲間が大勢いました。

この医療・教育・保健・福祉の4つでスクラムを組むことが発達障がいのお子さんを守るためにはとても大切なのです。

就学前の健診や園の中での問題は「保健」、就学時の問題は「教育」、そして、診断、治療する医者の問題は「医療」、そして、最終的に必要となる就労支援や治療を続けるために必要な医療費補助の問題は「福祉」と、発達障がいで悩んでいる方々の人生の連続体には、この「4つの葉」が欠かせないのです。

そして、「医療」と「教育」の中に、さらに発達障がいのお子さんを守るために手を取り合うべき「4つの葉」があると私は考えます。

医療では、「校医」、「小児科医」、「小児神経専門医(認定医)」、「精神科医」の「4つの葉」です。特に園医や校医は発達障がいのお子さんに一番近い医療者です。

本来ならばお子さんのことを一番知っているわけですから、密に連携しなければなりません。しかし、予防接種と定期健康診断の時しか顔を見せない園医や校医も多いのです。

園や学校でひっきりなしにトラブルやいじめの問題があっても、医療とは別世界と言わんばかりに関心すら示さない園医や校医も少なくありません。

それは、医療にも学校にも責任があるのです。もっと彼らに発達障がいの現状を伝えなければならないのです。ですから、今後は四つ葉の会にもできるだけ校医の方々も呼んで勉強してもらう必要があると考えています。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。