あくまで、背面の神、獣が魔除け・辟へき邪じゃの効果を演出している。※副葬品以外の例外として、沖ノ島の神々に奉納された三角縁神獣鏡は十二面。

6 卑弥呼の鏡は次の銘文に限定される

「天王日月」「天王」・「日月」「天」・「王」・「日」・「月」「日」・「月」「日・日・日・全」

この銘文が刻印されている鏡こそ、卑弥呼に下賜された本物の皇帝の三角縁神獣鏡である結論に至った。

※「天王日月」の意味「天王」はサソリ座のアンタレス星を指す。もっとも強い輝きの星で天子、天主を表し、「日、月」は太陽と月で天子と后を指す(近藤喬一著『三角縁神獣鏡』より引用)。

「天王日月」の銘文を持つ三角縁神獣鏡は、三神三獣のタイプと四神四獣タイプが現存する。特に三神三獣の「天王・日月」は三人の聖人と三頭の神獣(虎か獅子)がいて、口にサシガネをくわえている。聖人を守りかつ、鏡を所有する者を悪霊から守ってくれると伝えられている。

口にサシガネをくわえているのは、帝王の権力の姿と言われていて、大変希少価値のある神獣鏡である。

三神三獣鏡で、サシガネをくわえた獣は、福岡県京都郡苅田町にある石塚山古墳に二面と大分県宇佐郡の赤塚古墳に一面。福岡市の天神森古墳、筑紫野市原口古墳、京都府山城町椿井大塚山古墳の計六面だけである。福岡、大分の五面の出土、関西は一面のみ。

特に「天王日月」の三角縁神獣鏡は旧豊前国の石塚山古墳の六面と赤塚古墳の四面合わせて十面だけで、それらは皇帝から下賜された百枚のうちの一割に相当する

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『邪馬臺國は豐國にあり 歴史学と考古学から読み解く⽇本古代史』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。