著者・村瀬英晃氏と個性豊かな社会人で行っている勉強会、学生時代の恩師とのやりとりから生まれた自由な発想やアイデアで問題解決に繋げる水平思考について連載形式で紹介します。

CLIMATE SHOCK(気候変動クライシス)

本書は、冒頭で次の二つの質問をした上で、説明を加えていく構成となっている。

⑴気候変動は急を要する問題だと思いますか

⑵世界が化石燃料依存から抜け出すのは難しいと思いますか(本書の要点)

気候変動は、全地球的な規模のカタストロフ的なリスク管理問題といえる。気候変動は大きな被害をもたらすので、炭素税などを導入すべきだ(最低でも1トンあたり36ドルの炭素税を)。

気候変動のリスクは不確実性がきわめて高いので、その被害見積もりは今よりずっと上積みすべきかもしれない(ファット・テールとは、確率や頻度は小さいがその被害(または利益)がすさまじく大きい現象をいう。地球温暖化はまさにこれに該当するという見方である)。

ジオエンジニアリングによる気候変動対策は高リスクだし、お手軽なのでだれかが自分勝手にやってしまう危険があるので、ガチガチに規制すべきだ。という3点である。

海の二酸化炭素吸収力を高めるために、海に鉄分を撒いてプランクトンの育成を促すとか、屋根を白く塗って熱吸収を下げるとか、大気中に硫黄の微粒子をばらまき、日光をはねかえすことで温暖化を緩和できるのでは? と根強く云われるが、副作用の恐れがあるから、拙速にすべきではないと、強く批判している。

「温暖化 リスクを学ぶ キーワード ファットテールと フリーライダー」

※フリーライダーは本来「ただ乗り」という意味だが、公共財の公共サービスを考える時によく扱われるテーマで、温暖化対策に関して言えば、経済的・時間的・労力的なコストを支払わずに、恩恵だけを受け取ろうとすることを意味する。(2020・2・24記)