第5章 オンライン社会の出現

オンライン革命

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「人間の進歩というのは感動からはじまる。偉大な発明発見でも、あるいは悟りでもそうです。みんな感動がないといけない。凡と非凡のわかれるところは能力の如何ではない。精神であり、感激の問題だ」。(出典:「安岡正篤こころを磨く言葉」安岡正篤 イースト・プレス)

 

今回の新型コロナによって、ビジネスの最前線で働いている世界中の人々は、使わざるを得なくなったオンライン会議に感動しました。メールやSNSが当たり前となった今日、オンラインはありふれた技術です。一方、会議は日本の企業にある日常的な風景。

この二つの要素が重なって、オンライン会議が私たちの目の前にあらわれた瞬間、私たちは驚きました。「こんなことができるんだ」と。オンライン革命が誕生した瞬間でした。私たちはこの風景がもたらす効果の大きさについて、気づいたのです。

いつの時代も先を走る人がいます、オンライン会議などはそうした人たちにとっては、見慣れた光景でした。しかし、関心を持たないほとんどの人は、人と人が触れあうことのない技術を、「人間を理解していない人たちの技術」と冷笑するところがありました。

オンラインという言葉は、インターネットが登場するはるか昔から存在しています。1960年代に銀行の第一次オンライン化により、現金自動預け払い機(CD)での預金の預け入れや引き出し、自動引き落しサービス、振り込みサービスなどが実現し、飛躍的に便利になりました。

その後インターネット、携帯電話、スマホなどが登場し、私たちを取り巻くコミュニケーション技術は大きな進化を遂げました。しかし、そうした技術的進歩にはいつもネガティブな人が数多く存在します。

自分はアナログが大好きだ、あんな七面倒臭いことは大嫌いだ。高速大容量の5Gサービスがはじまった現在でも、たくさんの人がFAXを頼りに生きています。

FAXがなければ商売ができないという事業主もいます。「新型コロナウイルスのデータをファクスで集めていた日本が、ついにデジタルへ」(出典:米紙ニューヨーク・タイムズ電子版2020年5月6日)と海外から揶揄される日本です。そうした光景が、新型コロナで一変したのです。

オンラインという用語は業界用語であり、若者を中心としたITテクノロジーに抵抗がない人の世界であったものが、あらゆる業界、あらゆる世代に広がったのです。オンラインが社会に共通認識として、入り込んだのです。

オンラインワーク、リモートワークという言葉はすでにIT用語ではなく、仕事のスタイルを意味することになりました。パソコンを満足に操作できない人も、このオンライン会議を体験したことで、不思議な感覚を味わったのです。「これは使える」。

たとえ有用な技術であっても、社会に受け入れられなければ、広がらないのです。世界中のしかもあらゆる産業の人々が、オンライン会議によって、ビジネスの景色が変わることに感動したのです。