第2章 HACCPは、今


(1)グローバルに進化した食品安全・安心
 

① 1999年半ば、「中小企業大学」、HACCP実践的認証講座

1999年の秋、中小企業大学の旭川校の理事長、校長のお二人が、「HACCP(ハサップ=Hazard Analysis and Critical Control Point)の実践的講習会を3日間24時間で行いたい。その時の講師として是非お願いしたい」とのことで、旭川からエコア本社まで来られたことがあります。

私は3日間の講習で喉がもつか気になりましたが、受講した50社の企業の経営者、工場長方は大変真剣に耳を傾け、3日後の修了テストでは全員が優秀な成績で修了されました。この3日間という短い期間において、企業の成長戦力として高い製造環境を構築することが得られたと実感した講習でした。

1996年にはO157(腸管出血性大腸菌感染症)が多発し、その発生原因として調査によりカイワレ大根が疑われることになりました。この件は風評被害をもたらし、当時の厚生大臣・菅直人氏が自らカイワレ大根を食べる報道がされましたが、ここでHACCPが注目されることになりました。

食品には製造、製品別に生、半生、乾燥、加熱製品などがあります。飲食料品では「加工食品品質表示基準第2条」で定めるものと、その他個別の加工食品に義務づけられる製品対象として切身・刺身(複数の種類の盛り合わせを除く)・むき身・冷凍・解凍製品があります。HACCPは製造工程においてルール化された管理上適切な規格であり、消費者の安心が得られるシステムと言えるでしょう。

食品安全の構築で、構造的アプローチの動線、ゾーニングは最も大切な条件となり、新設または改修工場は衛生条件を確保しやすくなります。設計が重要であり、微生物、ウイルス、塵埃から人・もののクリーン度の適合的構造が必要となりますので、バイオロジカルクリーンルーム化の工事は効果的です。当設計については事例もありますが、専門的な話になるので本書から除きます。

2005年に発行された国際規格ISO22000は食品関連企業にとってリスクマネジメントでもあり、ブランディングツールにもなることから今後の認証取得の増加と活用が期待されています。

ISO22000におけるHACCPを見ると、中小企業や小売などにも適用できるよう配慮されているので導入の拡大が予測されました。近年経営者の社会的ポリシーが変わり、食品製品のクレームはガバナンスに対することであって、決してあってはならないと思われる時代となりました。

2010年には、FSSC22000が発行され国際的な食品安全の指標として取引で活用されていますが、ISO22000は、この規格にも利用されています。

・HACCP実践的認証講座

現在、食品製造事業者等にHACCPの導入に向けた人材育成や知識習得のため、「HACCP実践的認証講座」の研修開催の支援を実施しています。講座では次の3種類の研修が行われています。

①基礎研修:HACCPの導入に必要な衛生管理の基礎的な知識の習得を目的とした研修

②責任者養成研修:実際に企業の責任者にHACCP12手順7原則を教え、HACCPプランを作成できるようにするための研修

③指導者養成研修:他社のHACCP導入を指導・助言するために必要な知見・技術を習得する研修

※本記事は、2018年6月刊行の書籍『EARTH 2050』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。