1.生物模倣工作とは

これらの考え方の根拠を以下に示します。

【人気記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない

何故生活用品か

さて、何故そのような生活用品か? については筆者の好みもありますが、今のところこれらだけが生物模倣工作を活かせると考えられるからです。その辺の考え方をもう少し詳しく説明しましょう。

新しいものを創り出すためには、ものの組合せだけでは無理があり、何らかの新しい考え方と新しい技術が求められることは明らかです。

生物の優れた点を工作に採り入れることは新しい考え方と言えるかも知れませんが、一般人には新技術を作り出すことが出来ないので、我々にとって新技術の組込みは大きな問題と考えられます。

しかし、よく考えてみれば、我々は新技術を生み出せないにしても、新しい機能を持つ既存のものを見付けてものに組込めれば、ある意味新技術として先に進めることになりそうです。

難しいようですが、技術の進んだ現在、一部の素材にはその可能性があることが分かります。例えば、テープなどの薄膜は強度上の理由で、強くて丈夫なものの部品として使われることは殆どなく、どちらかというとその優れた特性を活かして単体で使われています。

しかし、現代の薄膜は耐久性や使い易さや品質等の実用性も以前には想像も出来なかった位にレベルが高くなっていますから、今やものに組込めるようになっています。

従って、テープを組込んだものがテープの特性を活かすことで新しい機能を発揮出来るようになれば、これは新技術を活かした新しい作り方ということになる訳です。

幸い、素材や素子作りに関してなら日本は第一級の技術力と生産力を持っていますから、安価で良質なものを容易に手に入れられます。

このような、ものに組込めるユニークな素材がテープ以外にもいくつか見付けられるなら、我々が新技術を開発する必要がなくなることになります。