麻雀と出会ってしまって……

大学の陸上競技部でまず教わったのは麻雀だった。

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春の早い時期だった。5月には関東インカレという大きな大会が国立競技場であったが、その帰りには先輩に強引に誘われ、(本当は自ら……)麻雀を朝までして、少しの仮眠だけで国立競技場へと応援に向かった。それが三日続いた。

昨今でこそ、ノーベル賞を受賞した本庶佑先生の「麻雀好き」が報道され、そのお陰で、かなり高尚なものへと印象が変わりつつあるかもしれないが、4年間の大学生活の多くの時間を浪費し、もっと勉強に、もっとトレーニングに、時間を割くべきだったろうと反省しきりだ、ということにしておく。

授業はというと、体育原理という科目でのこと。数人のグループを作り、研究発表をすることになった。

3人で組んだ私は、「遊ばない子ども、遊べない子ども」と題して発表をした。パネルディスカッションの形式での発表、および、質疑応答を終えると、途中では何の発言もなかった担当教官より、「こんな高度な話になるとは思わなかった」という、お褒めの言葉をいただいた。

ただ、ディスカッションに教官がついてこられなかったという印象が残り、何とも言えない虚無感に襲われたのを記憶している。一応、「やる時はやるぞ」ということを言いたいだけの一例。

陸上競技はというと、鳴かず飛ばずといったところ。要所要所で怪我に見舞われたこともあったが、高校時代の記録をほとんど伸ばすことができず、悔しい思いしか残らなかった。

それでも3年生の冬季練習では、週に2日、短距離ブロックの走り込みに参加して、200mを10本、難なく走れるようになったのは収穫だった。

そのかいあってと思いたいのであるが、平和台陸上競技場で行われた「全国教員養成系大学対抗戦」で入賞し、総合優勝に貢献することができた。

その晩、後輩を誘って食べた玄界灘の寿司が抜群に美味しかったことは一生忘れられないだろう。

体育心理学研究室で磨かれて──

杉原隆先生との出会い

第8章で詳述することになるが、心理学に強い関心を抱いていた私は、体育心理学に惹かれていった。1年生時の授業は真面目に取り組んだし、テスト勉強も必死で頑張った。

「必死で頑張った」と言うのは、過去問とその模範解答が出回っており、それを必死で覚えたのだった。おそらく模範解答通りに全て記述できており、満点だろうと思っていた。