そんなこんなでバタバタと死んでいくものだから幕府は心中禁止令を発布したのだそうだ。それに関しては、学生時代に御巫から色々と話を聞いたことがある。

まずは生まれ変わり、つまりは輪廻について。輪廻とはヴェーダや仏典などに見られる用語であり、人が何度も転生を繰り返すことを指す。

転生は人に限らず、動物なども含む生類に行われるそうだ。掘り下げていけばここからはインドの諸宗派やヒンドゥー教など宗教の分野に突っ込むことになるので割愛しておく。

御巫は懇切丁寧に説明してくれたが専門外で、さっぱり理解できない私は聞き流してしまっていた。今になってもったいないことをしたなと少しばかり後悔をした。煮詰まったらまた御巫に話を聞かせてもらおう。君の脳みそはにわとり以下か、と揶揄されてしまうのを覚悟して、だが。

ちなみに、輪廻転生についての俗説だが、一つに双子がある。特に男女の双子は前世で心中した者たちだと言われている。

また、敵同士で刺し違えた者たちは来世では夫婦として結ばれると言い伝えられている。前世で遊女であると来世でも水商売の仕事に就くのだそうだ。

先にも述べたが、男女の双子は情死、つまり心中した者たちの生まれ変わりだと信じられており、忌み嫌われていたのだとか。もとより双子は忌み嫌われる存在であった。

双子が生まれると、母親は〝畜生腹〟と呼ばれ、蔑まれていたらしい。双子を産んだ母親は不吉を呼ぶ嫁として、場合によっては離縁させられていた。なんとも現代では考えられない話だ。

その双子が最も嫌われたのが江戸時代なのだそうだ。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『水蜜桃の花雫』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。