そしていつしか私たちは二人だけの部屋で、初めて会ったとは思えないほど自然でなごやかな雰囲気のなかで、すぐに仲良し友達となった。

しばらくして私たちは互いにすっかり打ち解けてゆき、ピアノを弾いたり、絵をかいたり、折り紙、箱庭遊びとか、そしてときには二人で大きな声で笑ったり、いろいろな遊びをしながら楽しい時間を過ごしていた。

そうした中、うれしいことや、楽しいこと、悲しいことなど、今まで私たちそれぞれが思っていることを心ゆくまで語り合ったのである。

そして私たちはその間、どんどん時が過ぎていくことも全く気にとめず、今まで味わったことのない素晴らしい時を思い切り楽しんでいた。しかし過ぎていく時間と共に私たちはやがて疲れてきて、そのままうとうとと寝入ってしまったのである。

やがて古い柱時計がボーンと低く響いてふっと私は眠りから覚めた。私はまもなく彼女がそこにいないことに気付いた。廊下に出てみた。けれど彼女の姿はなかった。

隣の部屋も同じだった。いない。

どうしてだろう。

しだいに寂しく心細く感じ始めたが、誰かが私を神秘な世界に誘い込んで彼女とめぐり合わせようとしたのだろうか。どこからともなくある花の香りが漂ってきた。

私はなかば意識が薄れてきたようだった。

そして私はそこで何をしているのかさえ分からなくなってきたように感じ始めた。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『私の生きる意味』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。