能動的に聴く「傾聴」ということ

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ここでは傾聴について考えてみたいと思います。

聴くという行為、それは単に耳を傾けるという受動的な行為ではなく、語る側の言葉を受け止めるという能動的な「聴く」が重要であると考えられます。緩和ケアの世界でよく語られる「傾聴」とは、この能動的に聴く行為であると思われます。

この場合、聴く側は、語る側にとって無視し得ない、意味のある存在でなければなりません。そういう人に言葉(言葉だけではないかもしれませんが)を受け止めてもらってこそ、語りがいがあり、語る側と受け止める側のキャッチボールのなかで、信頼関係も構築され、語る側が変わっていく原動力が生まれる可能性もあるかと思います。

傾聴という行為、病める人の言葉を受け止めるこの行為は、他者を迎え入れるという、いわゆるホスピタリティーにも通じるところがあると思います。医学的にはすでに何らなすすべがなくとも、傍らにたたずみ、病める人を見捨てることなく、ただ受け止める。これが自然な形でできたとき、医者として以上に、人間としての喜びを感じます。