3日間でこの種目の予選・準決勝・決勝を走り、さらに走り幅跳びもこなすのですから、息つく暇のないすごいスケジュールでした。

県大会では全ての種目が優勝と準優勝となり、次の大会にも出場できることが決まりました。

次の大会で上位6位までに入れば、インターハイ出場の資格を得ることができる。最後のチャンスに6位入賞は必須でした。3種目全てで次の大会に出場した私は、走り幅跳びの踏み切りで右足首の複雑捻挫(ねんざ)をしてしまいました。200m走の決勝で7位となったあとの走り幅跳びでした。

皮肉にも、望みの綱である400m走の決勝を一本残しての大怪我でした。

捻挫の痛みの中で、決勝は走らずに済むのでは……と内心で思っていました。

「もう幅跳びは諦めなさい。次の400m走決勝で思いっきり行け! お前なら走れる」

監督の信じられない一言でした。

耳を疑いましたが、すでに腫はれ上がっている足で一時間後に走ることになりました。決勝のスタートラインで、「こんな足じゃ無理だ」と弱気になる自分がいました。そう思うと気が楽になるのでした。どこかで、やめようと思ったからです。

苦しいレースが始まり、不思議なことに捻挫の痛みはなくなり、周りの声援がはっきりと聞こえ始めました。どこでやめるかを考えている間に、ゴール。

その足で私は優勝をしていました。

走り終えた私の足首は、風船のようにパンパンに腫れ上がっていましたが、ついに、念願のインターハイへの切符を手に入れることができたのです。
 

 
※本記事は、2020年12月刊行の書籍『きょうは着物にウエスタンブーツ履いて』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。