シンデレラは真夜中の12時までという時間の制約の中で自分の魅力を伝えきることができました。プレゼンテーションではないコミュニケーションでは、時間の制約はあまり問題になりません。気心の知れた家族内でのコミュニケーション、友人との尽きるとも知れない語らいなど、翌日また会えばよいのです。基本的にプレゼンテーションは、同じ条件は2度と巡ってこない1度限りのチャンスです。

ですからコミュニケーションとしてのプレゼンテーションは1度のチャンスに全ての意図を凝縮したものでなければならず、その目的達成の確度を高めるためにはプレゼンテーションの戦略が必要になります。

それは、プレゼンテーションの瞬間に向かってさまざまな準備を行い、そのかけた時間をプレゼンテーションの一瞬に凝縮していくという企画です。コミュニケーションが重要視される時代となりましたがその質は時間的制約によって大きく異なります。

限られた時間での瞬間的なコミュニケーションに長けた人間は信用できないという考え方もありますが、長い時間をかけた準備を一瞬に集約したコミュニケーションと考えればそうではないと言えるのではないでしょうか。さて、競争であり目的がある以上、プロポーザルには勝ち負けがあります。

スポーツではないので、ルールが公平である必要も論理的である必要もありません。ビジネスにおけるあるプロポーザルの判定基準が論理的だったとしたら、その場合は、判定する側にそれが有利だったからに過ぎません。正確に言えば、プロポーザルの勝ち負けは、ルールに沿った判定ではなく、相手の意思決定の問題なのです。

コミュニケーションとしてのプレゼンテーション
コミュニケーションには、伝聞や噂話などを介した間接的なコミュニケーションと、リアルタイムでやり取りをする直接的なコミュニケーションがある。 また、持続的なコミュニケーションと、瞬間的なコミュニケーションの違いもある。
プレゼンテーションとは、ある成果をあげることを目的として、図式化による圧縮、抽象化、比喩などのテクニックを活用して、限られた時間と空間に凝縮されたコミュニケーションである。
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『intelligence3.0』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。