宣伝はこの位にして、生物模倣工作そのものの説明に移りましょう。

生物模倣工作においては、ものを進化させて完成に近づけるという手法と生物の特徴をものに組込むという手法を併用するようにします。

なお、生物模倣工作では、生物の性質をものに置き換えることなくアイディアの進化だけによって完成に近づけられることもあります。

従って、生物模倣工作で得られるものは、アイディアを進化させただけのものと、生物的特徴を備えているものとに分かれることになります。

進化に関しては、最初に難題を解決してくれるものとして、こんな考えではどうかというモデルを最初に作り(出発モデルと言います)、それを評価しては問題点を潰す改良を加えることを繰り返し、徐々に進化させて完成に近づけようという方法を採ります。

正しい改良の方法を教えてくれる進化理論はありませんから、問題はものの進化速度を我々の時間尺度に合わせることが出来るかどうかということになりますが、意志と学習能力と新技術があれば、そして対象が比較的小さいものであれば、十分可能であるとの見通しが得られました。

具体的には文房具を含めた新しい生活用品が生物模倣工作の対象ということになります。

もっとも、生活用品と言っても幅が広いので、さらに「使うことで生活そのものがより賢くかつ心地よく感じられるようになるもの」に範囲を絞って、その実現を目指します。

言い換えると、「知的活動や整理、さらには心地よさのレベルを高めてくれる生活用品」ということになります。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『生物模倣工作のススメ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。