「公立は『オワコン』だ」なんて言わせない! 教育現場にはびこる不信、あきらめ、無関心。そして現場を無視した制度改革――。 社会が目指すべき学校教育とは? 現役教師が解説していきます。

リーダー育成編~仲間の幸せを願って動けば自分も幸せに~

私は、社会科を教えているということもあり、歴史上の偉人のエピソードを紹介したり、歴史的な名著を読んでもらったりすることがあります。

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例えば、西郷隆盛の『南洲翁遺訓』であったり、童門冬二さんの『上杉鷹山』であったりです(日本史の中にも立派なリーダーはたくさんいます)。

また、自分が考えたり学んだりしたリーダーの心構えを一枚の紙にまとめてプレゼントするようにもしています。このような内容です。

①仲間のことを思いやり、人情と愛情をもって接しよう。仲間が喜ぶことをやっていこう。

②集団の一人ひとりとよく話し、よく理解しよう。困っていたら話を聞き、心から励まそう。

③まずは自分が率先してやろう。みんなの見本になる行動をしよう。言葉に説得力が出るよ。

④時には人に頼ろう!協力してもらおう。すべて自分でやる必要もない。

⑤集団をよくしようという責任感と執念をもって本気で取り組もう。

⑥迷わず舵を取るために、集団をどのようにしたいのかという理想を忘れないようにしよう。

⑦集団のよかったところや課題をことあるごとにわかりやすくみんなに伝えよう。想いを語れ!

⑧話し合いでは,さまざまな手法を使ってより多くの意見を出してもらおう。少数意見の尊重。

⑨自分なりのリーダー像と向上心をもとう。そのために本を読もう。学ぼう。

また、私はリーダーのあり方を子どもと考えるとき、イソップ童話の「北風と太陽」という話を使います。この話は、北風と太陽が旅人の服を脱がせた方が勝ちという競争をはじめるという話です。

北風は、力任せに旅人の服を脱がせようと、強い強い冷たい風を吹きつけます。しかし、旅人はより一層服を着こんでしまいます。それに対して太陽は、暖かな日差しで旅人を照らします。気持ちよくなった旅人は、一枚二枚と服を脱ぎ、ついには笑顔で水浴びをはじめるという話です。

私は、北風の冷たい風を「愛情のないとげとげした言葉」に置き換えます。そして、旅人の服を「心の壁」だと考えます。人間冷たい言葉ばっかりを毎日浴びせられたら心の壁は更に厚くなるばかりです。それに対して太陽の日差しは、「愛情にあふれた温かい言葉」です。温かい声をかけられたら、お互いがニコニコ笑顔になります。