いやいやながら夏休みからの練習に参加。これが、私の高校生活を変えた。ただならぬ意気込みで取り組んでいる上級生の姿に圧倒された。大きな意味のある行事なのだと認識した。

先生方の手はいっさい借りず、2、3年の先輩方がすべてを仕切り、チーム運営や細部にわたっての準備がなされていく。

応援合戦のアトラクションに出演する人はその練習に、衣装を作る人はその任に、美術部はバックスタンドの絵の制作に、ある人はそうやって頑張っている人たちのための腹ごしらえの炊きだしに、精を出す。

3年生が采配を振り、各自が生き生きと持ち場の任務に徹している姿。中学生とは全く違った自立した高校生を見た。いつしか私も先輩たちの熱意に巻き込まれ、楽しみながら応援合戦の練習に没頭していった。

チアガールには、率先して各競技を応援するとともにグループ対抗応援合戦のアトラクションに出場することが課された。応援合戦は最も力が入る競技。その年の企画の一つは、バトンガールと小太鼓隊とのマーチング。私たち同じクラスの5人は小太鼓を担当した。

小太鼓は初めて。バチの持ち方から教わり、しばらくは教室の隅で机を打ちながら練習。ようやく小太鼓をたたけるようになり、そのうち行進しながら演奏。夏の暑い日々、午前中の補習授業が終わると、午後は体育祭のアトラクションの練習に明け暮れた。

そうして迎えた9月の体育祭。チームが一丸となって優勝を目指し、生徒皆が思い出深い一日となるよう真剣に取り組み、燃えた。

晴れの舞台は、手作りのチームカラーの黄色の衣装――ノースリーブの短いワンピースと山高帽――を着けて。一瞬、静まりかえる運動場。大きく息を吸いこみ、背筋を伸ばして、互いの調子を合わせようと目で合図。さっそうと一歩を踏み出した。

――結果、4グループ対抗の応援合戦で優勝はできなかったが、精一杯やったという充実感はあった。

体育祭を機に母校の長い歴史と先輩方が築いてきたものの重みをさらに実感し、縦と横のつながりが大きく広がり、私の高校生活に活気がみなぎるようになった。

あれから30年以上が経つが、いまだ忘れられないシーン。その良き伝統は今も続いていると聞く。後輩たちは今年も人生を変えるであろう祭に熱狂していることだろう。