英国国立ウェールズ大学経営大学院にて医療経営学修士号を取得した臨床医が、現代の医療経営の諸問題を追及します。

ブランディング戦略:実品質と知覚品質(認知品質)

以上のことから、医療の質を評価するには本来のアウトカムが評価できることが理想ですが、ブランドにおいて重要なのは、お客様が認識する品質(知覚品質あるいは認知品質)です。

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したがって医療においても顧客である患者がそのヘルスケア組織の臨床水準の高さを理解できなければ、そのヘルスケア組織の水準が高いとは言えません。

知覚品質と実際の品質について示します(図表42)。知覚品質とは消費者が商品・サービスを購買選択する際に、同じカテゴリーの他の商品・サービスと比較して、優位性を感じる再異性、購買の動機づけ、プレミアム価格の裏づけです。

坂手康志、小々馬敦.通勤大学MBA15ブランディング,P.25(2013)(改変)

東京工業大学大学院の加藤克彦先生の研究によると(図表43)、コカ・コーラと通常のノーブランド・コーラを目隠して飲んでもらうと、「味覚」や「さわやかさ」に対する評価点数は両群で変わらなかったのに対して、目隠しをはずして飲んでもらうと「味覚」や「さわやかさ」ともに、コカ・コーラの方がノーブランド・コーラよりも評価が高かったといった研究結果が報告されています。

加藤克彦 東京工業大学大学院

毎年お正月に放送される番組「芸能人格付けチェック」で100万円のワインと5000円のワインを容易に鑑別できないことに似ています。