人生100年時代に突入し、AIやITといった最新テクノロジーや多様化などによって複雑化していく問題に対処するためには「管理」を通じて得られるスキルが必要である。第一三共株式会社やファイザー株式会社、厚労省ベンチャーサポート事業のサポーターなどの経歴を持つ冠和宏氏が「管理」を通じてスキルを習得する方法を語っていく。

論理的に物事を整理・分析する

本セクションに興味のある人はとても多いのではないだろうか。ロジカルシンキングに関連した方法論や手法はとても多いが、どれから手を付けたら良いのか悩む。それらを使ってやりたいことと、実際のできあがりのギャップが気持ち悪い。どうもスキルが定着しない。私もこんなことに大いに悩まされた一人である。以下に書いていることは他のビジネス本と何ら変わりはないと思うが、大きく違うところは、実践で繰り返して活用してきた経験も織り交ぜて、誤用しがちな事例や、活用事例にも触れているところであろう。テクニカルスキルの詳細は、第三章の組織マネジメントで解説する。

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いわゆる論理的解決法などは、テクニカルスキルと言われる。こういうと「敷居が高く、専門性が不可欠なのでは」というイメージを抱かせてしまうかもしれない。一般的に言われているビジネススキルとどう違うのか?ということであるが、いまだから声を大にして言えるが、別に区別をしなくても良いと思う。難しく書いてあるだけで、根本的なところは同じで、要するに「理屈が通っている」とか「理路整然としている」ということなのである。

ある社員を管理職に昇格させるかどうかを評価する際に、ラインのメンバーとしてこれまで磨いてきた専門スキルの成熟度も評価項目に含め、昇進・昇格の決定をしている組織は少なくない。昇格を評価する側からすると、これまでの経験や実例を参考に、管理職としてのポテンシャルを評価しているわけだが、そんなことを昇格した者に伝える機会は少ない。ちゃんと説明できる上位者も少ない。このようなことがテクニカルスキルに対する誤解を生んでいる1つの原因にもなっていると思われる。

日々の管理業務に必要なもの。

組織の発展に貢献するために必要なもの。

そして、組織が直面する問題を特定したり、またそれらを解決するために必要なものだと思ってもらえれば合点がいくと思う。

例えば、問題の特定、原因分析、解決方法の提案のように職種を問わず高い習熟度が望ましいものに加え、顧客ニーズの洗い出し、競合分析、重点領域の特定、戦略構築、新規プロジェクトの立案、新製品の提案のようなものを論理的に行うための知識やツール使用の成熟度などを指す。より専門性が高くなるほど、テクニカルスキルの習熟度が効率的な時間の使い方につながってくる。

また、単に好みや直感で選んだだけより、意志決定についての納得感も出てくるだろう。

1つ添えて置くとすれば、「テクニカルスキルの足りない上層部は、メンバーから冷ややかな目で見られる」ということだろうか。