二月二十六日、曇り空で乾いた雪も時々舞っていた。今日はジャンプで明日はクロスカントリー。

(今年最後の試合だ、よーし、やるぞ!)

宿を出発した直後の心意気であった。

この一時間後には二度と二本の足で歩くことができなくなるとは夢の夢にも思っていなかった。

ジャンプ台の一番上、スキーを履いた。左右の脚を前後に移動させるとよく滑る。新潟の雪とは全く違う。周りで笑いながら話している選手もいたが、なぜか余計に緊張を誘う声のように感じられた。

「小樽は海に飛び込むようで怖い」と幾度となく聞かされていたジャンプ台である。ジャンプを始めて二年目の自分にはあまりにも無謀なのか。怖い。このままやめて逃げ出したい気持ちと、何が何でもやるんだという気持ちが交錯していた。