専門医ではなく、総合医が必要

「(宇宙船)地球号 トータル思考で 環境の 持続可能な 対策急務」

さて、鈴木悌介氏による石田教授(現名誉教授)とのインタビュー対談(2012/9当時)に、次のようなやりとりがある。

「社会の7つのリスクとして、資源、エネルギー、生物多様性、食糧、水、人口、気候変動のどれが最大リスクになるか、今の科学ではわかりません。わかりませんが、どれも2030年ころまでに限界に近くなることは間違いない。

……もうひとつ言えることは、地球環境問題について話せる人がいないということ。温暖化の話ができる人、エネルギーについて話せる人、水について、資源について、食糧について、生物多様性について、個々の問題について話せる人はいるんです。

……ところが、地球環境問題はこれらが合作されたものなので、どれか一つだけ直そうとしたら、必ず他にしわ寄せがいって問題が深刻化してしまうため、こういうリスクがなぜ起きていて、おのおののリスクがいまどのような状態なのかをひっくるめて全方位で語らないと駄目なわけなんです。

……専門医ではなくて総合医が必要……」(東北大学大学院環境科学研究科石田研究室にて)

「こちらを立てればあちらが立たず」地球レベルでの環境問題が抱えるジレンマ。シンクタンク「ローマクラブ」より「成長の限界(1972)」が発表されてから半世紀経過した。

今や、世界の際限ない都市化とライフスタイルの変化への要求を満たすための活動によって、地球1個の再生産能力を上回って資源を使い尽くす問題や、異常気象、飽食と飢餓、経済的格差など、様々な問題が噴出している。

約100カ国で活動している世界最大規模の自然環境保護NGO団体のWWF(世界自然保護基金(WorldWideFundforNature))なら、その舵取りを取れるのだろうか。(2020・2・19記)

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『水平思考で社会問題を詠み解く!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。