永遠(トワ)のやくそく

つぎに目をあけると、ぼくは、うすぐらい小さな巣の中にいました。からだに、力が入りません。

【関連記事】「出て行け=行かないで」では、数式が成立しない。

『お兄ちゃん、どこ?』

ぼくは、ク~ンとなきました。

『おちびさん、やっと気がついたかい?』

ななめむかいの巣の中から、なき声がしました。

それは、茶色のおばあさん犬でした。

『ここはどこ?』

『どうぶつびょういんに、きまってるじゃないか』

おばあさん犬は、なんでも知ってるみたいに、おしえてくれました。

『どうぶつびょういんって、なに?』

ぼくは、つぎつぎに聞いてみました。

『びょう気やケガをして、死にそうなやつが、つれてこられるところさ』

『ぼく、死ぬの?』

おばあさん犬の目が、ぎょろりとこちらにむきました。

『そうだよ。おまえさんも、いつか死ぬんだ。こわいのかい?』

ぼくは、くびをかしげて考えました。

『わからない。だってぼく、死んだことないもん』

するとおばあさん犬は、フッフッフッと、はなをならしました。

『正直な、おちびさんだね。気に入った!』

おばあさん犬は、やさしくうなってから、ねむそうに目をとじました。

『死ぬっていうのが、どういうことか…。そのうち、おまえさんにもわかるよ』

グルルルル…。

ぼくも、また、ねむくなってきました。

『それまで、ぐっすりおねむり』

おばあさん犬の声が、遠くで聞こえたような気がしました。

つぎにぼくが目をあけたとき、なぜかおばあさん犬のすがたは、どこにも見あたりませんでした。

『おばあさん、どこ?』

ク~ン、ク~ン……。

かわりに、青いふくをきたおじさんが、近づいてきました。

「よしよし、いい子だ」