そして今夜も仕事を終えて高津が帰って来て、楽しい食卓が始まった。

華奈は、

「ねえ、おじさん。明日、日曜日だからどこかへ連れてって。おじさんのバイクに乗っけてね」と甘えてみせた。

「戦国時代の城跡、いっしょに行きたい。おじさんの歴史の話もっと聞きたいの」

高津は歴史が大好きだった。華奈は興味ないのだがおじさんが喜ぶ顔を見たいので話は盛り上がり、津久井城に登る事になった。華奈は、自分の心臓の事を考えるとかなり不安だった。

しかし、おじさんを喜ばす事に命を懸ける決心だった。

日曜日、2人はツーリングで古城を巡った。得意になって説明する高津が、華奈には嬉しかった。2人で、

♫おじさんあなたは、やさしい人ね♪

と歌いながら楽しいツーリングは続いた。高津にとって、人生最良の日だ。

今だと後部席の華奈の手を自分の胸に回した。華奈はためらいもなく胸を寄せてきた。なのに、高津は我に返った。さっと腕を離した。何か、いたずら小僧のような気になってしまったのだ。しかし、心の中では、華奈ちゃん好きだよーと叫び続けていた。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『花とおじさん』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。