ぽっかりと暗き塹壕口(ざんごうくち)あけて 戦(いくさ)の記憶消(け)しがたきかな
錆(さび)つきし長き砲身照準を 定めしままに海へ向(む)けたり
洞窟はいまだに汚(よご)れず兵たちの 穿(うが)ちし鑿(のみ)の痕(あと)なまなまし
【小笠原諸島】
[夜明山、戦跡見学]
※本記事は、2014年2月刊行の書籍『歌集 忘らえなくに』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 忘らえなくに【第29回】
四季がある日本は移ろいやすいのだろうか。
行き交う人々の心や街の景色は千変万化で、過去はさらに記憶の彼方へ押しやられてしまっているかのよう。
だが、南の島々には、あの戦争を経ても変わらぬ日本の心が残されていた。
過去と現在、時間の結び目を探しながら、日本古来の清き明き心を見つける旅の歌短歌集を連載でお届けします。
ぽっかりと暗き塹壕口(ざんごうくち)あけて 戦(いくさ)の記憶消(け)しがたきかな
錆(さび)つきし長き砲身照準を 定めしままに海へ向(む)けたり
洞窟はいまだに汚(よご)れず兵たちの 穿(うが)ちし鑿(のみ)の痕(あと)なまなまし
【小笠原諸島】
[夜明山、戦跡見学]