打ち切られる捜索、そして…

炎天下の中、全ての登山道を捜したというので、捜索打ち切りが告げられた。

明純は青い顔をして、良典に何か言っている。解散が告げられる中、武蔵警察署の坂崎が、まだもどっていない隊があるので、いったん武蔵山脈の火口の前のレストハウスに移る、と告げた。

ヒョウゴは良典の車で、明純はイオリの運転する自分の車でレストハウス前の駐車場に向かった。

これで終わりなのか。東京から駆けつけて何時間か武蔵山脈にいて、それであきらめるのか。サクラは、まだ生きて、捜してもらえるのを待っているかもしれないのに!

「おかあさんとさっき話したんだけど」

ヒョウゴとイオリが良典の声に振り返る。今日は金曜日、明日から土日。二人とも仕事は休みを取って来ている。

「坂崎さん」

昨日・一昨日は現場に石黒という担当者がいたが、今日の現場担当は坂崎だという。

「え? 山岳捜索隊に引き続きの捜索を依頼したいんですか?」

坂崎の顔がゆがんだ。

「弟が最後に見たかもしれない風景を、兄と見たいんですよ」

イオリがゆっくりと優しい口調で言った。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『駒草 ―コマクサ―』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。