第2章 出会い

このたわいもない話を堀内と一緒に見舞いに来ていた伊藤が少し遠慮がちに、「本多先生、突然ですが、私、コンピューターの研究をしている伊藤と言います。織田さんには研究の費用面で長年お世話になっている者です。突然話に割り込んで申し訳ありませんが、私、人間の脳の記憶を複写する研究をしているのです。そこでつい今のお話に興味を持ってしまいました」

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本多が、「それは珍しい研究をしておられるのですね」と言うと、伊藤「今、脳にあるデータを継承することができないと言われていましたが、脳に蓄積されている記憶データもニューロンの結合によってでき上がっていますよね。これは今までのコンピューターの記憶方法とは全く違いますが、現在私が開発しているコンピューターの記憶媒体は動物の記憶方式ニューロンの結合によるのと同じ方法を研究してその理論を構築しています。これができれば、人間の記憶をそっくりコピー複写して新しい脳に移転することができます」

本多はびっくりして、

「え......、そんなこと可能なんですか?」

「人間の筋肉を機械に置き換えるとモーターになってしまいますが、収縮する繊維や形状を変化させる肉のような金属ができればモーターを使わない人間そっくりのロボットができます。コンピューターも電気の磁気記憶方式ではなくニューロン記憶方式で作ればいいのです」

「言われることはわかりますが、生物方式ですか、私はいろいろな学会に出ていますが聞いたことがありません」