仲間

私の周りにいる人々は実によく酒を飲む。そして、実によく電車で寝過ごす。終電だったら最悪でわけのわからない駅で下車して翌朝その辺のサウナから出勤する。

私の周りにいる人々は実によく酒を飲む。そして実によく電話魔になり、私に呂律の回らない状態で電話をかけて来る。

私の周りにいる人々は皆、どこか孤独である。だからこそ実によく酒を飲む。皆寂しいのだ。

私もいつも仕事が終わると酒を飲む。そしてパソコンに向かって下らないことをダラダラと書きながら、そんな電話についつい出てしまう。

そう、私だって孤独なのだ。そんな寂しい者同士がなんだか集まって、私を取り巻く輪というものは形成されている。

そして私達の共通点としては、皆寂しいけれどもどこか孤独を愛しているということだ。世の中を少し違った角度から眺めているが、皆、人の心の痛みがわかる優しい人々だ。

だからこそ私のこともとてもよく理解してくれて支えてくれる。いつも心配してくれていて、私を応援してくれている。たとえそれが単なる下心だったとしても、表面上の優しさに私は救われていた。

私の周りにいる人々は実によく酒で失敗をする。どこか大人気ないところがありながらも、哀愁たっぷりの彼らのことが私は嫌いじゃなかった。

私はたまに、いずれはやって来る決別を恐れたりする。仲間が自分から遠ざかって行くのを見るのが怖くて、その街を飛び出してしまうこともあるのだ。

上京した時の心情は、まさにそういうものだった。皆の笑顔が歪んで行くのを見られる程、私は強くない。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『破壊から再生へ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。