人口減少社会では、市場シェアを押さえた者が勝ちであり、シェアを落としたものは敗者。小売業で、日本一の売上を実現する、製造業では生産台数世界一を目指す。小売業日本一、製造業で日本一、世界一にたどり着いたものだけが勝者になりました。業界で1社しか生き残れない、こんな価値観が長く続きました。

しかし、どうでしょう。日本一になって敵はもはやいないと思ったところ、人口減少社会という敵が目の前にありました。売上日本一を目指したものの、人口減少とともに売上が落ちて驚いているのです。

何と経営者はミクロ(経済)の世界に生きていることでしょう。マクロ(経済)の枠組みの中でしか活動できないにもかかわらず、全体を見ようとしない。これこそ驚くべきことです。これをシステマティック・リスクと呼ぶのですが、競争する前からわかっていたことです。

私たちは目の前の競争に目を奪われ、しかも目先のノルマに追いかけられ、気づくのが遅れてしまいます。このようなコンビニの競争の愚かさは、誰の目にも明らかなのですが、当事者になると見えなくなってしまうのです。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。