第10話 昭和20年8月6日

眩いばかりの朝日が登る。ミーン、ミーンと夏の蝉が鳴き始めた。

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「今日も暑い一日になりそうだな」

「ところで、今度はわたしからの質問。今日は、何日ですか?」

「教えてやんないよーー」

TENCHIの問いかけに涼子はかわいくアッカンベーをした。

「何でもお見通しか、いいだろう……西暦がいいのか」

何かを悟ったようにシマは答えた。

「どちらでも」

「日付が変わって、今日は1945年8月6日だ」

「……1945年8月6日ですね」

TENCHIの赤い目が高速で点滅する。

「日本……。場所は……」

「もう、いいだろう。都市で言うと、ここは広島だ」

「……HIROSHIMA、広島、廣島」

「まずい……」

柱時計は7時ちょうどを差していた。

「悲しいお知らせです。もうすぐここの近くに、新型爆弾……つまり原子爆弾が投下されます……死者は約14万人」

「こいつ、何を言っているんだ」

「たぶん、当たってますよ」

「アツシ、いつ起きたんだ」

シマ、涼子が振り向くと、隣の部屋から毛布を小脇に抱えたアツシが立っていた。

「私は帰ります……」

「どこへ!」

TENCHIの発言に涼子は声を上げた。

「たぶん、未来にだろう」

落ち着いた口調でシマは続ける。