3.ギフトに込めた思い

社会人になって初めて出会った上司が、節目の年を迎えられた。元社長は喜寿、元部長は還暦。当時の有志でお二人をお祝いすることにした。

二十余年前、設立されたばかりの会社に入社した。会社の基礎を創るという気概を誰もが持ちあわせており、社長や部長はいつも新入社員の私たちに「会社をこうしたい」という熱い思いを語っておられた。社会人として企業人としてあるべき姿を、その上司から学んだ。それを語り示される時は厳しいものだった。が、仕事が終わるといつも気さくに話してくださった。仕事帰りや休日も皆で楽しむ機会がたくさんあった。奥さまともども私たちをかわいがってくださり、一緒に出かけたり家に招いてくださったりしたものだ。30人足らずで始まった小さな所帯は上司と部下の関係を超え、家族のようなあたたかさがあった。

転勤、結婚などで皆の居所は離れ離れになったが、お祝い事や赴任など事あるごとに「同窓会」を重ねている。

お二人のこの記念の年も皆で集まって祝いたかったが、それはかなわなかった。各地にいる有志に声をかけ有田焼の品を贈った。プレゼントを決めたのにはこんな思いがあった。